のれんとは?~分かりやすく解説~

皆様こんにちは、takahiroです。

 

会社の決算書類や、経済ニュースを見ていると『のれん』や『負ののれん』というワードが目に入ってくることがあります。

 

のれんと言えば、よく居酒屋や料亭などが開店・閉店の時に出し入れする暖簾を思い浮かべる人もいると思いますが、ここでいうのれんはそれとは全くの別物です。

 

今回は、そんな『のれん』と『負ののれん』について分かりやすく説明していきます。

 

 

のれんとは?

簡潔に言うと、『会社の持つブランド力(知名度)や技術力を背景とした、将来利益を出す力によって、通常の買収金額より高い金額で買収することとなった際の差額』のことを指します。

 

会社はモノやサービスを創り出し、それを販売することで利益を出すのが一般的です。

それにあたりモノやサービスを創り出すための設備や機械、人材が充実していればその分良いものが創れて高く売れるわけですが、それら目に見える力の他に、目には見えない力というのも会社は持っています。

 

それが上述のブランド力や技術力です。

例えば靴やお財布などを販売しているGUCCI(グッチ)や、化粧品を販売しているChanel(シャネル)は、その名前自体に価値を持っています。

 

「GUCCIが好き」や「Chanelだから買う」というのは、商品はもちろんですが何よりその会社の名前に魅力を感じているからこそ出る意見です。

 

また、「精巧で細部にまでこだわった商品」というのは、それを創るための技術があってはじめて成立するものであり、消費者はそんな商品だからこそ好きで愛用しているということも多いです。

 

これらは目に見えないため分かりづらいですが、間違いなく会社の強みであり力ですよね。

 

そんなのれんは、会社が買収される際にその真価が問われます。

例えばA社をB社が買収することが決定した際に、A社の純資産(会社自体の持つ価値)が100万円だったとすれば、通常であればB社は100万円出せば買収できます。

 

しかし、実際には200万円出すことで買収が成功しました。

 

これは、A社のブランド力や技術力であるのれん代に100万円の価値があると判断され、純資産100万円に上乗せされた形です。

 

これがのれんであり、『正ののれん』とも呼ばれています。

 

 

負ののれんとは?

上記に対し、負ののれんは簡潔に言うと、『会社を買収する際に、通常かかるはずの金額より安く買収できた場合の差額』を指します。

 

その会社のブランド力や技術力、その他の部分で何か問題があると見なされたため、その点をマイナスとして安い金額がつけられたと判断するのが一般的です。

 

例えば、過去に不祥事を起こして会社のイメージが悪くなっているとか、技術力の割に抱えている設備や機械がデカくて高額な維持費がかかっている(いわゆるコストパフォーマンスが悪い状態)などですね。

 

これも目には見えませんが、確実に会社の持っている力(ただしマイナス方向の)です。

 

例えばC社をD社が買収することが決定した際に、C社の純資産が100万円だったとすれば、通常D社が100万円出せば買収することができます。

 

しかし、実際には50万円で買収が成功したとすれば、その差額50万円は負ののれん代が影響したものと捉えることができます。

 

負ののれんが発生する会社は何かしらのリスクを抱えているため、本来であれば買収するのは控えた方がいい会社です。

 

それでも買収するということは、立て直して利益を上げる算段がしっかりあるという可能性もありますが、いずれにしても動向を注意深く見ていく必要があります。

 

 

のれんの注意点

のれんというのは『目には見えない会社の価値』を数字(金額)にしています。

 

そしてその金額は、『会社が利益を生み出す力を持っている』ことを前提として計上されているため、もしどこかの時点でその前提が成り立たない(そこまで利益を生み出せない)ことが判明すれば、その分だけ利益ではなく損失として計上されることになります。

 

のれん代によって会社の利益が大きくなっていて良く見えることがありますが、これはあくまで『期待値』であって実際にお金として存在しているわけではないことを認識しておきましょう。

 

同時に、その年度にいきなり利益が大きくなっている理由がのれん代でないかどうかも、しっかりチェックすることが大切です。

 

 

まとめ

誤解のないように補足しておくと、のれんは決して違法性のある利益の計上ではありません。法律に則って記載されるものです。

 

ただしその性質上、少々独特な存在であることを忘れず、これによって会社の価値を見誤って投資で失敗しないよう気をつけましょう。